中学まではあっけらかんと、これよろしく! の一言で下着を放り寄越していた夏輝が、変われば変わるもんだ。

別々に洗ってとまで言われないのが、幸いだ。

そんなことをしていたら水道代はかさむし、時間だって二倍かかってしまう。

それじゃあ、いくら器量よしの僕だってどうしょうもない。

洗剤は目分量。

それが母さんから教えてもらったやり方だし、実際にカゴを持ち上げ時の重さで、なんとなくわかるさ。

この辺りは、まあ、主夫の経験だ。

先に白物をぶち込み、ザーッと洗剤、たらーっと柔軟剤を入れて、蓋を閉める。

五本の指がパソコンのキーボードでも打ってるようにすばやく動いて、ピッピッピッ、はい終わり。

ごうん、ごうんと動き始めた洗濯機を優しく叩いて労った僕は、サッと方向転換、キッチンへ進む。