わざわざ背伸びをして僕の肩越しに覗くから、

「……立ち話もなんなんで、中入ります? よかったら、一緒に晩飯でも」

気を遣わずにはいられない。

それがおばさん根性を持つ主夫の癖だったりした。

「おおっ、そうか。なーんかわっりぃな! いや、わりぃわりぃ!」

そして実際、その気遣いをデンさんが狙っていたことを悟る。

それでも、

「いや、いいんすよ。どうせ今日はカレーっすから。たくさん作ってますし」

「お~、カレーか。いいねぃ。お前ン料理はうめぇからな!」

全然問題ありませんよ、みたいなことを言うのも、サガだったりする。