静かになったというより、沈黙が横入りしていた。

ただそのせいで、

「……ごめん……」

彼女がまた、僕に当ててか、なにかにか、謝ったのが耳に入ってしまった。

もちろん、なにも返さない。

たぶん姉貴はなにか返してほしくて言ったんじゃないだろうし、どちらにしようと、もうなにか返そうとは、思わなかった。

(言わなくてもわかるとか、沈黙が美徳とか、そういうんじゃないけど、な……)

果たしておばさん臭い人間なのか、それともおじさん臭い人間なのか……

自分の性分を疑りながら、またちびちびと水を喉に流す。

頭と胃が、冷えた。