少し、食べるのをやめて、彼女は答える。

「母さんが死んじゃった、次の日から、かな……」

「……」

「ちょっとだけ、記憶が飛んじゃったことがあって……それから、日に何度か……」

ほかの人に、おやっさんに聞こえないようにするためか、その声は僕でさえもギリギリ聞こえる、小さなものだった。

僕も、あんまり人に聞かれたくないと思ったから、わざとなんてことない風に言ったんだけど……

彼女の口調は、そういう風じゃなかった。

なんだろう、謝っているような感じがした。

(だれに?)

それは、僕に。

(なんで?)

たぶん自分のことをまた、また、しょうもないと思ってしまってるから。