『うん。そう、なのかな……ありがとう』
『うん』――っていう姉貴の、ほんの一瞬だけ見せる仕方なさそうな顔が、嫌いだ。
『そう、なのかな』――っていう姉貴の、自信のなさ過ぎる顔が、苦手だ。
『ありがとう』――っていう姉貴の、まるで自分の心をちぎって分け与えているような言葉が、怖い。
だから僕は、喉から飛び出してしまいそうになった言葉を、ぐっと胃の中へ流し込んだ。
それにもうひとつ……
(そんなのは、僕じゃなくて、ほかの男が言ってやるべきなんだろうしな)
その問題は、僕には、弟には解決できないと思った。
僕が姉貴にしてやれることはせいぜい、車椅子を押すくらいだ。
あとは、彼女が彼女らしくいてくれることを、祈るっきゃない。
『うん』――っていう姉貴の、ほんの一瞬だけ見せる仕方なさそうな顔が、嫌いだ。
『そう、なのかな』――っていう姉貴の、自信のなさ過ぎる顔が、苦手だ。
『ありがとう』――っていう姉貴の、まるで自分の心をちぎって分け与えているような言葉が、怖い。
だから僕は、喉から飛び出してしまいそうになった言葉を、ぐっと胃の中へ流し込んだ。
それにもうひとつ……
(そんなのは、僕じゃなくて、ほかの男が言ってやるべきなんだろうしな)
その問題は、僕には、弟には解決できないと思った。
僕が姉貴にしてやれることはせいぜい、車椅子を押すくらいだ。
あとは、彼女が彼女らしくいてくれることを、祈るっきゃない。

