オレンジ色にして

ほかのお客さんにラーメンを出しながら向けられるその瞳から、軽く犬くらい殺せそうな眼光が、矢のように放射される。

「――で?」

ほんのわずか開いた口から、ほんの短い問いかけが投げかけられて……

(?)

僕はわけがわからずに、キョロキョロと辺りを見回してしまった。

意味もなく、『しょうゆラーメン』とか『チャーシュー麺』とか『餃子』とかメニューが書かれている掛札をあらかた見てから、またおやっさんに目を戻す。

眼光は、やっぱり、まだ、まっすぐ、僕という存在を射抜くように向けられていた。

「おめえはだれだ?」

と、僕を上から下まで、まさに値踏みするように見据えながら発せられたのは、マフィアのドンみたいな……ドラを響かせたような声だった。