(そんなにイヤか、ラーメン?)

幾ばくか、あれが小学生の時、お兄ちゃんお兄ちゃんと繰り返しながらどこまでもどこまでもくっついて来た妹だったのかと思うと、とんでもない変貌振りだった。

(まあ、女の子は成長すると変わるって言うけどさ……)

ほんのちょっと、反抗期を迎えた娘を持つ親のような気分になってしまった僕は、

くいくいと袖を引っ張られていることに気付いて、視線を落とした。

「夏輝は行っちゃったから、二人だけで食べよう? ここのラーメン、すんごく美味しいんだから」

車椅子は慣れっこだと話した時とは違う、急に明るくなったその顔を見て、思う。

(母さんは姉貴のこういう顔を、もっと前から知ってたんだろうな)