オレンジ色にして

「――もう」

「?」

「慣れっこ、なんだよね」

と、姉貴オススメのお店とやらに足を運ぶ道すがら、彼女が、僕にとも、夏輝にともつかない口調で、ポツリと言った。

夏輝が、ぷらぷらした足取りで口を開く。

「なーにがぁ?」

姉貴は、少しだけ顔を斜め上にあげると、

「こうして人が多いところにくるとね――私って車椅子でしょ、だからみんなの目線がずっと高いところにあるの」

なんだか、昔話をするように、言った。

「そうするとみんな、私のこと見下ろしていくの。最初はちょっとイヤだったけど、もう慣れちゃってね。――ふふっ」

そして自嘲気味に笑いをこぼした姉貴を――

僕は、

(どうして……)

無意識に。

、、、、、、、
見下ろしていた。