『気分転換』という言葉が強調されていたのは、僕の聞き間違いでも、思い違いでもない。

夏輝の、思いやりだと気付く。

気分転換……か。それも、いいかもしれない。

姉貴がこんなことになって、母さんがいなくなった家に帰って、今まで通りにメシを食うより、

ちょっと外食をするのも、悪くない。

「じゃあ外にするか。なに食う?」

と僕がまとめると、おずおずと上がったのは姉貴の手だった。

「ちょっと、提案が」

姉貴は、積極的か消極的かで言えば、後者のほうだ。

いつも二者択一で僕と夏輝の意見が分かれた時、絶対彼女は、どっちでもいいよ、と言って争いを長引かせる原因になる。