見れば、おじいさんは車椅子に点滴や呼吸補助装置をつけていた。

体は、服から出ている手だけを見ても、か細くて、皮と骨に、血管だけのような人だった。

一瞬、悪いとは思いつつも、

(うわ)

短く、心中でこぼしていて、その次に、

(大変、なんだろうな)

あわれみというかなんというか――無知な同情をしていた。

おじいさんが、平謝りする姉貴から、僕のほうへスイと視線をあげる。

微笑を形作ったらしい、しわくちゃの顔が、言う。

「すまなかったね。――もういいんだよ」

「!」