(そんなに上手く立ち回れりゃあ、苦労しないって)

なんていう風に自重しながら、僕は姉貴の車椅子を押した。

相変わらず誰かから叱責され続けているような、なんとなく、雨に凍える猫を連想させる彼女は、口を割らない。

いや、別になにかを質問して、それに答えてくれないって意味じゃない。

ただ空気を読み取った感じからすると、なにを言っても今は、満足に答えてくれない気がした。

(なんだって、こんなことになったんだよ)

僕らがいったい、なにをしたっていうんだろう――

なんとなく、そう神様に訊ねてみる。