「まあとりあえず、今後も通院してもらうことにはなります」

姉貴の答えを聞いた仲代先生は、それまでの静けさも気にしない、殺伐とした口調だった。

「それから私、もうひとりのお姉さんとも少しお話をして、コミュニケーションを取りたいのよね。よろしいですかね?」


「あっ、はい、大丈夫です」

姉貴が二つ返事をしたところで、僕は割り込んだ。

「あの、多重人格って治るんですよね? ちゃんと姉貴の中の、もうひとりのわけがわかんないヤツは消えるんですよね?」

仲代先生の診察室には彼女のデスクと椅子、それから患者の座る椅子とベッド、あとはなぜか視力検査の装置や、アロマキャンドルがあった。

デスクの上で封を切られているのは、ブロックチョコだ。