中卒と同時に染めた肩上の茶髪が、夏輝のせわしい動きに合わせて揺れる。

「だいたいウチのお姉ちゃんに限って、そんなのあるわけないじゃん?

見てよほら。このとっぽーい顔したお姉ちゃんのどこに、もうひとり人間が入るってわけ?

ムーリムリ、そんなの絶~対に無理~」

ポンポンと夏輝に頭を柔らかく叩かれる姉貴は、どうしてか、とてもすまなそうにしていた。

みんなに迷惑をかけている。

自分はだれかに負担をかけている。

自分のせいで……

そんな風に、まさか思ってるんじゃないだろうか。

彼女はそうやって背負い込む人だと、僕は、知っていた。

だけど僕は、そんな姉貴の顔が、大嫌いだった。