「お姉さんは、多重人格障害のようですね」
そう言って、精神科女医の仲代多美先生は僕と、姉貴と、夏輝とを順々に見やった。
楕円形のメガネの向こうから、彼女の瞳が強く光っている。
とても強い、人を押す視線だ。
本人じゃない本人――『多重人格障害』。
それが人の中に人がいる、答えだ。
「多重人格ぅ~? っていうかなにそれ、なんの冗談? 第一そんな、マンガじゃないんだしさ~」
と、僕と一緒に姉貴の診察に来ていた夏輝が、笑った。
夏輝は僕よりひとつ年下で、今は高校一年。
けばけばした化粧に走ったりはしてないが、グロスやらチークやらは友達の影響を受けていた。
そう言って、精神科女医の仲代多美先生は僕と、姉貴と、夏輝とを順々に見やった。
楕円形のメガネの向こうから、彼女の瞳が強く光っている。
とても強い、人を押す視線だ。
本人じゃない本人――『多重人格障害』。
それが人の中に人がいる、答えだ。
「多重人格ぅ~? っていうかなにそれ、なんの冗談? 第一そんな、マンガじゃないんだしさ~」
と、僕と一緒に姉貴の診察に来ていた夏輝が、笑った。
夏輝は僕よりひとつ年下で、今は高校一年。
けばけばした化粧に走ったりはしてないが、グロスやらチークやらは友達の影響を受けていた。

