「そもそもアナタこそなんなのよ、さっきから人のこと姉貴姉貴って」

彼女は、とてもとても強い口調で言った。

「私は真乃よ。何度もそう言ってるの、アナタってばなのにしつこく――」

「?」

勢いよく喋り出した彼女は、ふと、ロウソクの火が消えたように黙り、

かくり、

と、糸が切れた操り人形みたいに崩れてしまった。

「姉貴!?」

運よく、僕のほうへと傾いてきた彼女の体を、慌てて肩を掴んで支える。

ところが、彼女はどういうわけか意識が落ちてしまっているようで、抱えた腕の中で、ぐったりとしていた。

「っ、あ、姉貴……!」

眠った人間、意識の落ちた人間は、普通の何倍も重たい。