なんで、姉貴にそんなこと訊かれなきゃいけないんだ?

僕は弟で、いつも姉貴のメシを作ってるし、妹の世話だって焼いてるのを、数えきれないくらい見てるはずだろ。

「なんでそんなこと訊いて、」

「だったら、アナタはなんでそんなこと訊くのよ」

不敵に腕を組みつつ、ずいと言い寄る彼女に、

「なんで、って」

答えられない自分がいると気付いた瞬間、僕は、なにが起こっているのか、本当はわかっているんじゃないかと、だれより自分を疑った。

わかってるんだろ、と自分に問いかける。

今僕を責めている姉貴は、たしかに姉貴だけど、姉貴じゃないだれかなんだって。