オレンジ色にして

「もういい加減、悪ふざけはやめろよ!」

ストローをくわえたまま振り向いた彼女は、とぼけた顔半分、大声を出されてイラついた顔半分だった。

そんな表情の変化さえ、気にしてやれない。

姉貴にさっさともとに戻ってほしいし、これ以上僕がなにかを考えたって、答えも出そうにないと思った。

僕にとって、車椅子に乗って、ほんの少しいつも顔をうつむけて、穏やかにしているのが姉貴なんだ。

今ここにいて、そんな、変質者を見るような目をしているのは、姉貴とは呼べない。

そうさきっと、歩けるのだってなにかの間違いだ――そんな風に、思い込んだ。

思い込みたかった。