オレンジ色にして

いやだけど、どうしてそんなことが言える?

どうして、目の前にいるのが姉貴じゃない?

十八年間一緒に生活してきて、ついさっきまで一緒に散歩もしていたんだぞ。

母さんの話だって……。

それなのに、なのに姉貴じゃないなんて――

(ああクソ、頭が狂いそうだ)

どんなに観察して、もうわからない。

「おい姉貴!」

とうとう耐えきれなくなって、僕は勢いよく車椅子を押し、彼女の横に並んだ。

椅子の上でリンゴジュースが少し跳ねたけど、そんなことは気にしてやらない。

というより、してやれるだけ余裕がなかった。