「―――っ、真乃」

いったん唇を離して、僕は、意地悪に言う。

「広田と姉貴がおんなじことしたんだ。こんなんじゃ、余計俺が苦しいだろ」

でも、嬉しい意味の苦しみだって、あった。あったけど、満足できない。まだ、もっと、もっと真乃を―――。

「うん」

とだけ彼女は答えて、あとは、唇に込められた。

息の熱さが吹きかかって、首に掛かる重みが増えて、頭ン中に直接酒をぶち込まれたみたいに、くらくらする。

彼女の舌が口の中に入ってきて、それを追い回すことしか出来なくなる。熱くて暑くて、息苦しささえあるのに、やめられない。

お互いの口からよだれが零れたような気がしたけど、止まれない。

ここは路上だ、人が通るかもしれない、まさかの車が通るかもしれない、どこかの家の窓から目撃されるかもしれない、けど、抑えられない。胸の奥で勢いよく炎が収まらない。

収まらない、止まらない、抑えられない、やめられない……お互いに知り尽くしたい欲求が、ドンドンドンドンめなく溢れていって―――