オレンジ色にして

「そっ、そんなの、俺に言ったって無理だよ」

僕はその表情に、言葉に、意味に笑った。けど、たしかにオレンジ色に咲いてくれたら、なんてすばらしい偶然だろう。

そのためなら、大嫌いなカエル神様にも頼み込んでもいいかなと、笑ってしまうくらい。

と、パッと、伏せられていた彼女の黒い瞳が僕に向く。をしつつ、

「あー、んー、じゃあ冬弥、私からもプレゼントをあげるわ」

彼女の目がと光ったように思えた。

そして次に―――

「っ―――」

来る、と思ったのと同時に、彼女は僕に飛び込んできて、抱きついてきて―――首にぐっと腕を回されて、彼女の重みが掛かって―――唇が触れ合う。ところから我慢できず、僕は、彼女の細い腰に腕を回して、ぐっと引き寄せた。

瞬発的に、恋しさの先にある愛しさがドウと込み上げてきて、熱っぽさが集中する。

足元がおぼつかなくなるのは彼女の重みを支えているせいだけじゃないし、もっと強くもっと近くと思ってしまうのも、どうしようもない。

別にキスは初めてじゃないのに―――キスでこんなに頭がイカレるなんて、思ってもみなかった。

だけどふと、幸せの絶頂をあえてぶち壊すように、さっきの二人の光景が、僕の脳裏を過ぎった。