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僕らは似た者同士だ。誰かの役に立ちたくて家事を始めた僕は、だけど本当は、自分のちゃんとした役割、居場所がほしかった。

姉貴の中に現れた真乃は、経歴がないのに痕跡がない自分の居場所を求めて、『逃げ道の終点』や、『いつもの』を作ったりした。

僕らは、自分の居場所がほしかったんだ。絶対消えたりしない、あったかいと思える自分だけの場所が、ひとつでもいいから。

家までもう少しと言うところで、僕は思い出した。

「あっ、そうだ、真乃。実はお前にプレゼントがあんだよ」

「えっ、なになに?リンゴジュース一年分?それともリンゴの木?」

違うよ、と笑いながら、僕は今の今まで、何度潰してしまいそうになったか解からない贈り物を、ポケットの中から引っ張り出した。少しよれてしまっているようだけど、大丈夫、無事だ。

「なに、それ」

真乃が、きょとんとした目をする。

僕の手に納まっているのは、小さな紙袋だ。ちょっとぽち袋に似ているかもしれないけど、ちゃんとリボンのついたシールが貼られている。……自作だけど。