「俺はお前が好きなんだよ。嫉妬で頭おかしくなって、イヴにこんなとこまで逃げたり、ぐずって泣いちまうぐらい、お前のこと好きなんだよ」

「……」

「だから、ずっと俺といろよ」

それからまた少し、水の流れる音だけが静かに響いて、

「いいわね、それ」

笑みを含んだ真乃の声が、それに乗った。

「アナタ私のこと好きって言ってくれたし、あったかいし:::居心地もいいわ」

「当然だろ」

「湯たんぽみたいね」

お互い言い合って、そして、笑った。

笑って、その声が寒い夜風に乗せられて、少し僕らは震えた。

けど、すぐ身近に寄り添える居場所があって、それにしがみついて、そのあたたかさにまた笑った。そんなことを、二、三度繰り返した。

「あっ!」

と、不意に真乃が、背筋に電撃を流されたように声を上げた。なんだろうかと驚くのもの、彼女は僕の胸からパッと顔を上げる。

「ヤバいわ冬弥、すぐに帰らないと!」

「え、な、なんでだよ?」

立ち上がった彼女はそのままグイと手を引いて、僕を立たせた。