オレンジ色にして

そんな僕を差し置いて、彼女はまたくるりとスカートを舞わせ、前を向いて歩き始めた。

ストローをくわえて、テンポよく右左。機嫌よく聞こえてくるのは、鼻唄か。

いったい、どうしてしまったんだろう。

どうしてか歩ける姉貴、自分のことを秋乃じゃなく真乃という姉貴、リンゴジュースが好きな姉貴……

なにもかもが、姉貴なのに、姉貴じゃない。

(姉貴じゃ、ない?)

もしも仮に、彼女が言っていることを鵜呑みにするならば……

     、、
(彼女は、真乃?)

今目の前にいて、歩いて、僕と話をしている彼女は、本当に姉貴じゃないのかもしれない。