声が途絶えて、せせらぎがしっかり聞こえるほど、音がなくなった。だけど不思議と、沈黙が重苦しく感じない。
むしろ、このままたゆたっていたいとさえ思った。
けれど、そのな空気を、真乃がまた割った。
「ねえ冬弥、答えてみて」
「?なにを」
「……私が今、ここにいる理由」
彼女が、ここにいる、理由?そんなの、
「―――俺を、追っかけて来てくれたんじゃないの?」
「うん、そうよ。だけどさ、どうして追っかけてきたと思う?」
「どうしてって……」
―――僕は逃げた。
あの場所にいたくなくて、逃げた。逃げた僕を、彼女は追いかけてきてくれた。それは嬉しかった。
だけど、どうしてと訊かれたら……
(真乃は、ひょっとしたら僕のことを?)
自分に、都合のいい方向へ考えてしまう。
そんな空想を語るのは、なんだか恥ずかしくて、僕は押し黙った。
いっそ自分のその願望を押しつけてしまいたいのもやまやまだけど、限りなく答えにくい。
むしろ、このままたゆたっていたいとさえ思った。
けれど、そのな空気を、真乃がまた割った。
「ねえ冬弥、答えてみて」
「?なにを」
「……私が今、ここにいる理由」
彼女が、ここにいる、理由?そんなの、
「―――俺を、追っかけて来てくれたんじゃないの?」
「うん、そうよ。だけどさ、どうして追っかけてきたと思う?」
「どうしてって……」
―――僕は逃げた。
あの場所にいたくなくて、逃げた。逃げた僕を、彼女は追いかけてきてくれた。それは嬉しかった。
だけど、どうしてと訊かれたら……
(真乃は、ひょっとしたら僕のことを?)
自分に、都合のいい方向へ考えてしまう。
そんな空想を語るのは、なんだか恥ずかしくて、僕は押し黙った。
いっそ自分のその願望を押しつけてしまいたいのもやまやまだけど、限りなく答えにくい。

