ふとして、

「さみしいな、俺」

と、自分で言ってみたら、笑えた。とても暗い笑いだったけど。

「あらあらなあに、そのさみしー笑い?」

「!」

思っていたことを、口にしたことをそのまま繰り返されて、僕は驚いた。

まさかそんなはずがないと思いながらも振り返ると、暗闇にさえも映える黒髪の彼女が、そこにいた。

さっき見た時とは違う、薄桃色のショールを羽織っている真乃は、いつものくせなのか、それとも単に寒いのか、きゅっと身を締めるように腕組みをしつつ、僕の横へ来た。

座らずに、目もこちらへやらずに、彼女が言う。

「なんで、ここに冬弥がいるって解かったと思う?」

それは、本当に突然の、想像できない質問だった。

日々の家事をしていると、ヘンなところで現実味を帯びる―――というよりも、夢がなくなる。

だから、メルヘンチックな想像は、出来なかった。たとえば、なにか心にくるものがあったとか、そんな言っていて恥ずかしいこととかは。