解かっているのに、期待している背中が、震える。

自分でも、泣いているのはわざとじゃないかと思いながら、十秒数えた。

十秒があまりに長く感じて、さみしさに負けて泣きながら、一分待った。

寒さが手足にきて、涙も徐々に乾いてきて、たぶん、十分。

背中は、寒いままだった。

やっぱり、だれも来ない。

解かっていたけど、それを現実で思い知らされると、背中の寒さが、空気の冷たさが、胸の奥に現れたが、急激に重くなったような気がした。

さみしさは、さみしさを増幅させる。風が吹いて、小川がサラサラと真っ暗闇で流れて、公園側の花々がそっと揺れて、葉がこすれて……。

横に真乃がいたら、そんなありきたりな自然のも静かな華やかさを見出せるだろうに―――今の僕に、それだけの感覚はなかった。

だからに彼女の存在の大きさを思い知らされて、奪われたものの大きさを痛感して、さみしさが込み上げてくる。

寒さの無限が、僕をドンドン冷たくしていくのが解かったけど。帰ろうという気持ちには、なれなかった。

落ちるなら、ドン底まで落ちたってなんも変わりやしない。