オレンジ色にして

どうして、どうしてこうも、みんな僕の思い通りにいかないんだ。まるで、みんなで僕の邪魔をしているみたいに、どうしてこうも。

ああ、解かってる、解かってる。

世の中自分の思い通りにいかないことがほとんどなんてことも―――解かってる、解かってる―――そんな風に思うこと自体僕のりがりだってことも、ちゃんと解かってるんだ。

でも、だけど、このことについてだけは―――どうしてこんな―――!

車椅子に移った姉貴が、僕を見る。

「ただいま」

と、そして彼女のから盛れた自然過ぎる言葉が―――

(もうダメだ)

キリキリと締めつけていた僕の心臓を、いよいよズタズタに切り刻んだ。

もう、この場所にいたくなかった。

もう、家へと戻りたくはなかった。

もう、姉貴を見ていたくなかった。

もう、姉貴に見られたくなかった。

もう、じっとしていられなかった。

もう、じっとしていたくなかった。

そして僕は、

「あっ、冬弥! どこ行くの!?」

なんて弱いんだろう。また、逃げていた。

彼女から、現実から。