オレンジ色にして

そもそもだ。

     、、
なにがどうヘンになれば、歩けない姉貴が歩けるようになるっていうんだ。

「――あのさ、姉貴」

と呼びかけた僕に、

「違うわ」

スカートをくるり、一回舞わせて、彼女は振り向いた。

「もうこれで何度目? 私はアナタのお姉さんじゃないわ」

「……」

そして今まで、僕が見たこともないいたずらな笑みを浮かべる。

「私のことは真乃って呼んで。まーの、わかった?」

もうこれで何度目かだって?

さあ、そんなことは数えてなかったからわからないし、

(真乃ってだれだよ、姉貴。真乃ってだれだよ)

もう、頭の中が無理解でいっぱいいっぱいだった。