広田医師は、姉貴を真っ赤にさせる。

姉貴は、真乃だ。それは、まるで、真乃が広田医師に真っ赤にさせられているようで……だから彼のことが、僕は大っ嫌いだ。

この間、僕が告白した時に初めて見せた、戸惑いとともにした顔を、広田医師は普通に姉貴にさせる。

そんなのを見せられるたびに悔しいし、むなしいし、とにかく、真っ黒いみたいなものが腹の奥底から競りあがってくるのを感じる。

解かってる、隠せない、だ。

広田医師が、緩やかに、どこか得意げな口調で続ける。

でも、聞いちゃいなかった。聞いてやるもんか。

そうして結局、僕は姉貴が戻ってくるまで、戻ってきてからも、仏頂面でいた。