オレンジ色にして

あの時の表情は、今も変わらない。

その時の答え方はたしかにあやふやだったけど、あまりに率直で、素直だったから、僕もただ、そっかとうなずいた覚えがある。

以来僕にとって、姉貴と車椅子は切っても切り離せない存在になっていたのに、

(離れてるじゃないか、思いっきり)

目の前で今までの常識が、見事にぶち壊されていた。

、、、、
歩く姉貴は、どうしてそんなにたくさんと思うくらいリンゴジュースを買い込み、それを飲みながらスタスタと歩いている。

姉貴は、この頃自分がおかしいと言っていたけど、

(なんで歩けるんだよ? なにが起こってるんだよ?)

こういうおかしさは、僕もまったく想像していなかった。