「そのクリスマスケーキで姉貴と話してたんだけど。お前、チョコレートケーキ好き?」
「チョコレートケーキ? きらいじゃないけど。ケーキはやっぱりフルーツの盛り合わせじゃない? リンゴとかリンゴとかリンゴとかたくさん載せたやつ」
「おいおい、リンゴしか載ってねえぞ」
「おっ、いいわね。それじゃあリンゴパイ風のケーキってことで」
「それはタルトってんだよ」
「じゃあタルトでお願いね!」
はい決定~♪ と、ご機嫌に言う彼女は、本当に、いつもの―――姉貴じゃ絶対見せない、自然体の笑顔でいっぱいで―――オレンジ色のコスモスが思わず香りそうで―――ああ、くそったれ!
(なんだって真乃は、姉貴の中に現れたんだ……!)
真乃が車椅子に乗ったままでいてくれてよかった。
もし今、彼女が僕のほうに振り返ったら、絶対にどうしたのって訊かれる。
僕は、恐ろしくポーカーフェイスが苦手なようなのだ。
「あっ、秋乃さん!」
とその時、まったくもってむしゃくしゃしてるって時に、まったくもって虫の好かないヤツの声が、彼女を呼んだ。
「チョコレートケーキ? きらいじゃないけど。ケーキはやっぱりフルーツの盛り合わせじゃない? リンゴとかリンゴとかリンゴとかたくさん載せたやつ」
「おいおい、リンゴしか載ってねえぞ」
「おっ、いいわね。それじゃあリンゴパイ風のケーキってことで」
「それはタルトってんだよ」
「じゃあタルトでお願いね!」
はい決定~♪ と、ご機嫌に言う彼女は、本当に、いつもの―――姉貴じゃ絶対見せない、自然体の笑顔でいっぱいで―――オレンジ色のコスモスが思わず香りそうで―――ああ、くそったれ!
(なんだって真乃は、姉貴の中に現れたんだ……!)
真乃が車椅子に乗ったままでいてくれてよかった。
もし今、彼女が僕のほうに振り返ったら、絶対にどうしたのって訊かれる。
僕は、恐ろしくポーカーフェイスが苦手なようなのだ。
「あっ、秋乃さん!」
とその時、まったくもってむしゃくしゃしてるって時に、まったくもって虫の好かないヤツの声が、彼女を呼んだ。

