オレンジ色にして

(―――――怖いな)

密かに、ズボンの上から彼女への贈り物の感触を確かめながら、拳を握って、真乃の眼差しを正面から受ける。

まさか、今、ここで、答えを言うとは思わなかったけど……ただ見つめられているだけで、これからを受けるような気分だった。

そして彼女は、不自然にならないくらいの沈黙を置いて、言った。

「だってさ」

とだけ。

いきなりで、よく、意味は解からなかった。

だけどその言葉が、僕にとってあまり喜ばしい方面で発せられたものだとは、とても聞こえなかった。

ハッキリと、アナタの気持ちには答えらないと言われたわけではないけど、だからといって、僕の気持ちに答えてくれたのではないということは、しっかりと解かった。

プレゼントを、ポケットの中に入れておいてよかったと思う。

そりゃあ、ずっと手に持っているわけにはいかないだろうけど、仮にも、それでも最悪、ポケットの中に手を入れてなくてよかったと思った。