オレンジ色にして

この言葉に真乃は、ふーん、と簡単に頷き、それから、僕のほうへ首を。姉貴と同じ、でも輝きの違う黒い瞳が、久しぶりに僕のと胸の奥をにし、また、厳重に鍵の掛かっている箱の中に、ポッと火を生み出させる。

真乃とは、あの告白以来、あまり喋らなかった。

彼女が僕を避けていたというわけじゃないけど、いざ正面からして、彼女の強気な口調で、僕の気持ちを否定されるのが怖かったから。

家事が忙しかった、進路のことでいっぱいいっぱいだった、そんなのは当然言い訳に過ぎなくて、僕は彼女から逃げていた。

実際のところ、彼女はあれから何度も、姉貴とは代わっていた。だから、顔を合わせる機会はあったのだけど……僕はとことん、彼女から逃げていた。

彼女が、きっとずっと、僕のことを真剣に考えていてくれただろう、その時に。