仲代先生のやっているこれは、真乃の記憶をあとから姉貴に教えて、姉貴の記憶を真乃に教えることで、お互いの中で欠落している経過をい合い、に記憶を一本にということに繋がるらしい。
はたからみていたら、なんだかまるで、姉貴と真乃は一組ののようで、それぞれが入れ代わり立ち代り、今日はなにをしたっていう報告を母親にしているような気さえしてきた。
やがて、ある程度のことを訊き終えた仲代先生は、
「はい、いいですよ。お疲れさまです、真乃さん」
カチンとボールペンの先っぽを引っ込めた。サラサラとメモを取っていたカルテを、そっとデスクに置く。
「はっあ~」
と、ようやく解放された真乃が溜め息を漏らしつつ、車椅子にぐったりと体重をあずけた。
全然焦点を合わさない瞳で、彼女はどこか投げやりな口調で先生へ訊く。
「多美さん……これ、治療、上手くいってるの?」
「ええ。真乃さんの協力のおかげで、ずいぶん良好ですよ」
「じゃ、もうしばらくしたら私、秋乃さんと統合されるわけね」
「そうですね。でも怖いことじゃないわよぅ。ただ、ふたつになったひとつものが、もとに戻るだけですからねえ」
はたからみていたら、なんだかまるで、姉貴と真乃は一組ののようで、それぞれが入れ代わり立ち代り、今日はなにをしたっていう報告を母親にしているような気さえしてきた。
やがて、ある程度のことを訊き終えた仲代先生は、
「はい、いいですよ。お疲れさまです、真乃さん」
カチンとボールペンの先っぽを引っ込めた。サラサラとメモを取っていたカルテを、そっとデスクに置く。
「はっあ~」
と、ようやく解放された真乃が溜め息を漏らしつつ、車椅子にぐったりと体重をあずけた。
全然焦点を合わさない瞳で、彼女はどこか投げやりな口調で先生へ訊く。
「多美さん……これ、治療、上手くいってるの?」
「ええ。真乃さんの協力のおかげで、ずいぶん良好ですよ」
「じゃ、もうしばらくしたら私、秋乃さんと統合されるわけね」
「そうですね。でも怖いことじゃないわよぅ。ただ、ふたつになったひとつものが、もとに戻るだけですからねえ」

