オレンジ色にして

「ほおー、お前に、女、ねぇ。ほおー」

「冷やかさないで、真剣に頼むよ、デンさん」

僕は、どこかテキトーな口調の彼をねめつけた。僕にとってこれは大きな問題だし、軽視していいようなほど、単純な問題じゃない。

気持ちをそれとなく伝えたい女とは―――真乃のことなのだ。

つまり、彼女にプレゼントを渡すのはそのまま半分、姉貴に渡すのと同じだ。

それとなくっていうのは、だから―――『真乃には気持ちが伝わって、姉貴にはそうと解からないように贈れるもの』という意味なのだ。

「失敗したくないんだ。頼むよ」

「へいへい。しっかし、それとなくってのは、どういうこった?」

逆に問われて、実際、自分でもどうというものがしっかりイメージできていなかったから、

「あぁ~……なんていうか、プレゼントなんだけど、それほど特別には見えないっていうか、他人から見たらなんでもなさそうなものっていうか……」

「なんだそりゃ。えらくむつかしいな」

「は、はは、は……」

もう、適当に笑うっきゃなかった。