オレンジ色にして

オーバーリアクションにも耳の穴をかっぽじったデンさんは、座椅子に大きくもたれかかりながら、しみじみと漏らした。

「うへ~、なんでも出来やがる天下の冬弥さまが俺ンとこへご相談たぁ、よっぽどだな。しかも真夜中とは、こりゃあずいぶん深刻と見た」

「そ、そんな取り上げないでくれよ。大したことじゃないし、俺は別になんでも出来るってわけじゃない」



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「止められないんだ。今まで何度も、お前は姉貴でもあるし、俺が姉貴にこんな感情抱くなんてヘンだと思ったから、我慢しようとしてきた。でも、姉貴が落ち込んだりした表情見るたんびに、なんか怒りっつーか、むなしさみたいのが込み上げて―――」

「……」

「―――それで、お前が笑ってる顔見たり、そうやってほら、堂々としてる姿見るたんびに、痺れさせられるんだ。姉貴とは全然違う、お前のなにもかもに」

風がふわりと吹いて、彼女の長いスカートと三つ編みが、泳いだ。
けれど、真っ黒な目は、揺らがず泳がず、僕に向けられている。
だから誠意を込めて、僕は言った。

「だから俺は、お前が好きなんだ」



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