それでも僕はまた、なんでもない、と、膝の間に顔をうずめた。

ジーンズ越しに川原の石が当たって痛かったけど、そんなのよりもずっと、喉の奥が、胸の内側が、痛かった。

このまま、僕の心臓を止めてしまえばいいのにと思うくらいに、ズキズキと。

そんな痛みからは逃げ出したいから、いつもの僕でありたいから、無理やりに、思い込む。

(どうせ僕は、エプロンが似合うだけの主夫だ。それでいい、それだけでいい。また姉貴達の世話を焼いて、朝飯とかを作って、それでやっていけば―――)

ふと、その時、

「―――もう、逃げ場はないわ」

真乃が言い、そして、僕を包み込んだ。しゃがんで丸まった肩に背中に、彼女がするりと腕を回してくる。

「言ったでしょ、ここが終点って」

僕を抱きすくめた彼女は、吐息で声がしまうくらい静かに言った。

「冬弥が逃げてから、私が秋乃さんに代わって……なにがどうなってるのか解からなかったけど、追いかけた。

それで追いついた時アナタ、とてもつらそうだったから、ここまで連れてきてあげたの。なんとなく、そういうの解かるから」

「……」