「だから、終点」

ひゅん、と投げられた石は、パン! と勢いよく水面で跳ねてしまって、大して波紋を連ねないうちに、沈んでしまった。

「うーん、今日は調子悪いわね」

と唸った彼女は、突然、スカートの裾を持ち上げて、太もも辺りで結んだ。

姉貴はいつもロングスカートだから、初めて、彼女の足を見た。驚くほど、見入るほど、白い。

というより、

「ま、真乃っ、そんなな捲りあげるなよ!?」

単純に、その大胆な行為自体にも、驚かせられたけど。

「別にいいじゃない。アナタと私はきょうだい、でしょ?」

わざとらしく言って、彼女は笑った。

「……」

姉弟、という単語が今、とてつもなく空さみしく聞こえてしまった。

それがまた、一瞬でも見惚れてしまうくらい可憐な笑顔とともに発せられたから、なおさらに。

たぶんきっと、夏輝に姉弟でしょって改まって言われても、そんな風には感じないのに。ああそうだよって、ただ返せていただろうに。

「やめて、くれよ」

「?」

どうしても感じてしまう、彼女から言われたことの苦しみが過ぎて、胸の奥でまた箱からぶわぶわと漏れる火の粉を、僕はつい、口に出してしまった。