オレンジ色にして

いろんなことがいっぺんに起こり過ぎて、頭の中が混乱してしまった僕が体に下した命令は、安直だった。

「あ、姉貴、待てよ!」

ただ、呼び止めるだけ。

それだけで、精一杯だった。

すると彼女は、長い三つ編みを揺らして振り返り、きょろきょろと辺りを見回した。

そうしてやっと、僕の目が誰に向いているのかを認めた彼女は、それこそ、きょとんとどころじゃない、『冗談でしょう?』という顔をした。

「え、姉貴って、私? うそ……私一人っ子だもん、弟なんていないわよ?」

「は、あ……?」

僕のほうこそこの時、冗談だろ、と言いたかったし、思っていた。

いや、たぶん、顔にまで出てしまっていた……だろう。