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姉貴が好きなところは、『四季の広場』だ。

真乃と初めて出会ったのも、『四季の広場』だ。

『四季の広場』は、秋はコスモス、冬はサザンカが綺麗だと、姉貴は言っていた。

当てもなくさまよった僕らの前には、淡紅色があでやかなサザンカが、咲いていた。『四季の広場』に来たのだ。たしかにとても、綺麗だ。

「どこまで、連れてくんだよ」

と、僕は少し声を尖らせていながら、夢見心地にも訊いた。

デンさんに待てと言われた時、真乃は僕の手を引いて、走った。

僕をさらに、逃がしてくれた。

でも、僕が思い悩んだ理由が、目の前にいて……逃がしてくれているのか、それとも逆に悩ませているのか解からない、なんだか、皮肉めいた状況だった。

でも―――イヤじゃなかった。

真乃が僕の手を引いて、どこへとも知れずに走って……なにもかもを、捨ててしまったような、考えなくてもいいような、そんな風に救われていた。

ずいぶん、こうして言ってみれば、頭のいっちゃってる考えみたく聞こえるけど。