春山の表情が、一気に剣呑になる。

「はあって、お前なー」

彼女は、校内でも随一の熱血なのだ。

「こっちはお前の心配してんだぞー、そんないい加減でいいのか? もっと調べなくていいのか?」

「はあ、まあ」

言われても、思いつかないのだからしょうがない。

ある意味ふとした思いつきで、介護福祉士は今の自分の延長線だから向いているんじゃないか? と思ったから、そこまで深く突っ込まれても仕方がないんだ。

たとえ話をしよう。

初めて食べた料理を美味い感じたところへ、どうして美味いと感じたんだとか訊かれたって、答えようがない。

美味いと思ったのは美味いんだし、向いてるかもしれないと思ったのは、向いているかもしれないと思ったんだ。

「とりあえず、冬休み中によーっく考えてみな。介護福祉士を目指すンかどうかな。お前料理上手いし、すぐ就職すんなら、どっか飲食店入って、調理師とかもアリだと思うぞ?」

「……そう、っすか」

今こそ、とてつもなく思う。

やっぱり僕がそんな本を読むなんてこと、あらゆる意味で、ありえない。

現実はどうしようもないくらい、シリアスなんだ。