高校には、ラノベにご熱心な友人がいる。というか、それはタコのことだ。

ヤツはことあるごとに、まるでマンガでも勧めるみたいな調子で、これおもしろいぞ、と言ってくるのだが、僕は毎日の献立や家事に追われていて、活字を目玉だけで追うような暇はないのだ。

で、大まかに話を聞くと、主人公はかわいそうになってくるくらい、いろんなものに追われている。

まあ、同情はするけど、おもしろいとは思わない。

なんでかっていうと、彼はどうしてあんなにも、『現実生活』を疎かにしているんだろう? って思わせられるからだ。

タコが読んでいるのは、ああ、こんなのが当たり前のように流通するなんて、日本は平和だな~……と思わせられる、いわゆる『ファンタジー』ものらしい。

それに出てくる人物はみんな、普通の社会で暮らしているくせに、普通じゃ考えられない能力を持っていたり、絶対いないだろって断言できるような巨大組織と戦ったりしている。

で、そいつらは大体、物語の中で僕らと同年代なわけだけど……

よくもそんなに、現実を見ないで、非現実ばかりで暮らせるなと、思う。