オレンジ色にして

もう、僕はいったい、どんな感情でいるのか、自分で判断できなかった。

ただ、胸の奥でくすぶった気持ちが、燃料もないまま、目的もないまま、僕の内側をガリガリとひっかいて、傷つける。

頭が煮えているような気持ち悪さに、思わず、その場にしゃがみ込んでしまった。どんと尻をつく。

場所は、交差点だ。歩行者用信号機が、ピッピ、と甲高く鳴っているのが聞こえる。

歩行者が、僕の脇をすり抜けて行くのが、解かる。僕を見下ろしていくのが、不審な目で眺めていくのが、解かる。

感じる。あまり、いい心地じゃない。ああ、姉貴はこんな視線を受けているのか。僕には、慣れない感覚だ。

……とにかく、気分が悪い。

なぜだか無性に泣きたくなってしまって、ったまま、ぐっと顔を俯けた時、

「やっ、と、追いつい、た……っ」

「!」

ハッとして見上げれば、彼女が、僕のすぐ脇に、立っていた。肩で息をして、膝に手を突いて、少し、頬に汗の粒を浮かばせて。

「な、なん、ま、真乃―――なんだ、よ」

まるで家出が見つかったようなバツの悪さを感じて、思わず僕は少し腰を浮かし、引き下がった。