オレンジ色にして

「ヘンな人」

「!」

ポツリと漏れた言葉で、僕はハッと我に返った。

同時に、ギョッとする。

見れば、きょとんとした顔でいたはずの姉貴は、

(う、うそだろ……?)

、、
逆に妙なものでも見たように肩をヒョイと上下させていた。

なににも掴まらずに。

彼女自身の足だけで、立って。

いや、そればかりか、彼女は自分の足で、そのままスタスタと歩き始めてしまった。

僕と、車椅子の脇を、さも自分とは無関係のように、素通りする。

(あっ、姉貴は歩けないはずじゃ!?)