***



高校三年生ともなると、さすがに、のんびりと年末を過ごす計画なんかを立てているヤツはいない。

むしろ二学期も終わろうとしている今の時期は〆切のようなものに追われる、冷や汗も乾くような焦燥感でいっぱいだ。

「なーよー榊原~、お前進路決めた~?」

「お、重てえだろ、タコ。降りろ」

「あーあーあー、我が友は冷たいねえ」

まあ、だからといって、ひいひいと悲鳴をあげるほど、若い僕らは苦しんでいないけど。

ぐだぐだと文句を垂れつつ引き下がったタコに、逆に訊く。

「そういうタコはどうなんだよ、進路。就職先にしろ進学先にしろ、目星つけてんの?」

「ん~……とりあえずなあ。いや、つーか微妙~。めんどくせえ勉強したくねえけど、だからってまだ働きたくねえしさ」

「おいおいタコぉ、それをニートって、世間さまは呼んでるんだぜ。ま、最近やけに目が厳しいらしいけど」

そうなんだよな~、とぼやくタコは、ぐにゃぐにゃと机の上につっぷした。