オレンジ色にして

僕と同じく過去へ思いを馳せ、浸っていたんだろう、静かにそこにいた姉貴に訊く。

「それで、いったいなにを賭けたんだよ?」

すると彼女は、スイと顔をあげて――

「アナタだれよ。……なにじろじろ見てるの」

きゅっと、眉を吊り上げた。

それは今まで、いなくなってしまった母さんとの思い出を静かにはなしてくれた姉貴とは、全然違う目。

うつむけられていることが多い顔が、僕の真っ正面に向いている。

いつも自信がなさそうな目が、無邪気で、少し生意気な子供みたいに一直線、僕を見つめている。