オレンジ色にして

考えてみれば、真乃と初めて出会った時も、オレンジ色のコスモスが咲いていた。

そのイメージなのかもしれないし、今、僕が思い当たった、新しい彼女のイメージなのかもしれない。

目を開けていたのに、目の前のものを見ていなかった僕はそして、

「―――ぅや? 冬弥、大丈夫?」

「あっ、う、うん? なんだよ?」

姉貴が、ひらひらと眼前で振っていることに、慌てた。

おかげで少し、声が上ずってしまった。

忘れていたが、僕はかなり考えていることが顔に出やすいタイプだったのだ。

姉貴は、姉弟妹の長としてか、疑り深い顔で僕を見る。

「いや、なんとなく、ボーっとしてたみたいだから。ひょっとして疲れてるのかなって」

「えっ、なにっ、お兄ちゃんまさか? ヤだよ、そんなの!?」

「はあ?」

珍しく兄想いの一面を見せる妹に、に浮かんだのは疑問だった。

そしてその疑問は、すぐに解消する。