彼女と母さんが、いったいどんな会話をしていたのかは、知らない。

女二人の会話に入っていけるほど僕は据わった性格――というかおばさん化していないし、話すジャンルだって違うから、知りたいとも特別思わなかった。

二人が一緒の時に僕が乱入して言った言葉なんて、今日の晩飯はなにがいい? くらいだ。

(おんなじ屋根の下で暮らしてた家族なのに……知らないことは、たくさんあるよ、な)

どこへだか……もしかしたら天国への母さんへか……愚痴のように心の中で漏らしつつ、僕はひとつ息を抜いた。