―――ゴト―――

と、その時、

―――コ、トン―――

二階から、音がした。

キッチンの上はちょうど、空き部屋になっている。

本当は姉貴がそこを使うはずだったんだけど、車椅子での生活をなくされたから、一階の部屋を使っているんだ。

ちなみに横は僕の部屋で、その横は夏輝の部屋。物音は、空き部屋。

「真乃、上か!?」

一段飛ばしで階段を駆け上がった僕は、上がってすぐのところにある空き部屋のドアが開いたままになっているのを見て、確信した。突進する。

「おいっ、返事しろよ、真乃!」

「ヒャ、にゅぐっ!?」

悲鳴を発して飛び上がった真乃は、ちょうど押入れに頭から入っていたせいで、ごつん! とすさまじい強さでをぶつけた。

「く~あぁ~!」

頭を抑えながらゴロゴロとフローリングの上を転がり、やがて仰向けになって止まった真乃は、眦に涙を溜めていた。

「なによ、もう。ビックリするじゃないのぉ……」

「ビックリするじゃないだろ」

ごつん! からゴロゴロ、そして、うう、と唸る彼女のすべてを見ていた僕は、苦笑をこらえた。