「ここのコスモスが咲いた時、何色かなって話してたの」
その言葉に誘われて、僕は、辺りを改めて見渡した。
咲き並んでいるのは、秋というよりも過ぎ去った夏の残り香を見せるような、鮮烈なオレンジ色だ。
その中に倒れている姉貴の存在を、強烈な印象で揉み消してしまうほど。
「私はね? 桃色じゃないかなって言ったんだけど、母さんは絶対にオレンジだって言ってたの。……賭けてたんだけど、負けちゃったみたい」
やっぱり、母さんと姉貴は、僕らが学校に行っている間や、こうして散歩をしている間に、いろんなことを話してたんだ。
僕は、母さんとの思い出をそうやって語る彼女の声が、ほんの少し震えていたのを、風の中から聞き取っていた。
その言葉に誘われて、僕は、辺りを改めて見渡した。
咲き並んでいるのは、秋というよりも過ぎ去った夏の残り香を見せるような、鮮烈なオレンジ色だ。
その中に倒れている姉貴の存在を、強烈な印象で揉み消してしまうほど。
「私はね? 桃色じゃないかなって言ったんだけど、母さんは絶対にオレンジだって言ってたの。……賭けてたんだけど、負けちゃったみたい」
やっぱり、母さんと姉貴は、僕らが学校に行っている間や、こうして散歩をしている間に、いろんなことを話してたんだ。
僕は、母さんとの思い出をそうやって語る彼女の声が、ほんの少し震えていたのを、風の中から聞き取っていた。

